子どもが生まれると、将来の教育費について考え始めるご家庭も多いでしょう。教育費は大きな負担になるため、早いうちから計画的に準備することが大切です。教育費の目安や、学資保険と積立の違い、効果的な積立のポイントについて詳しく解説します。将来の教育資金に備えて、家計に負担をかけずに安心して準備できる方法を一緒に見ていきましょう。
教育費の総額はどのくらいかかる?
子どもの成長に伴い、教育費も段階的に増加していきます。どの学校や教育機関を選択するかによっても金額が変わるため、教育費の目安を知っておくと、必要な準備がしやすくなります。
公立校と私立校での教育費の違い
文部科学省の「子供の学習費調査」などのデータを参考にすると、学校の種類によってかかる教育費の差が大きいことがわかります。
- 幼稚園
公立:約25万円/年、私立:約50万円/年 - 小学校
公立:約30万円/年、私立:約160万円/年 - 中学校
公立:約50万円/年、私立:約140万円/年 - 高校
公立:約50万円/年、私立:約110万円/年 - 大学
公立:約120万円/年、私立:約160万円~300万円/年
以上のように、私立に進学する場合は教育費が大きく増えるため、家計に負担がかかります。大学進学までの教育費を計算すると、公立校だけの場合で約800万円、私立校の場合では約2,500万円程度かかるケースもあります。
塾や習い事の費用も考慮する
学校での教育費以外に、塾や習い事の費用も教育費として考えておく必要があります。特に中学受験や高校受験のための塾代は家計に負担がかかりやすく、1年間で数十万円から100万円を超えることもあります。子どもの将来の選択肢を広げるためにも、塾や習い事の費用も含めて計画することが重要です。
学資保険とは?
教育費の準備方法として「学資保険」が一般的です。学資保険は、保険としての役割と貯蓄機能を兼ね備えた商品で、契約者(親など)が一定期間保険料を支払い、子どもが高校や大学に進学するタイミングで「祝い金」や「満期保険金」を受け取ることができます。
学資保険のメリット
学資保険の最大のメリットは、教育費を計画的に積み立てられることです。保険料は月々一定の額で、契約時に定めた期間で支払うため、無理なく積立を行えます。さらに、以下のようなメリットもあります。
- 保障機能がある:契約者が死亡や高度障害状態になった場合、以降の保険料の支払いが免除され、満期保険金が受け取れるため、教育資金を確保できます。
- 目標を持って積み立てられる:学資保険は、子どもの教育資金を目的とした専用の保険のため、計画的に貯蓄しやすい点が魅力です。
- 祝い金の受け取りが可能:進学するタイミングに合わせて、祝い金が受け取れるタイプもあり、資金が必要な時期に適したサポートを受けられます。
学資保険のデメリット
一方で、学資保険には以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。
- 元本割れリスクがある:低金利の影響で、支払った保険料総額よりも受け取る金額が少なくなるケースもあります。返戻率(受取金額の保険料総額に対する割合)を確認し、必要に応じて商品を比較しましょう。
- 流動性が低い:学資保険は原則として途中解約できないため、急な出費で引き出すことができません。解約する場合は元本割れが発生することもあるため、家計全体を見ながら慎重に判断しましょう。
学資保険と積立の違い
学資保険以外にも、教育費のための積立にはさまざまな方法があります。代表的なものとして「定期預金」や「投資信託」があり、それぞれ異なる特性を持っています。学資保険とこれらの積立方法の違いについて見てみましょう。
定期預金での積立
定期預金は、銀行に預け入れることで、一定期間ごとに利息がつく貯蓄方法です。決まった期間ごとに利息が付与されるため、元本が保証されるのが特徴です。
- メリット:元本保証があるため、安心して積み立てが可能。利息もわずかだがつくため、確実に資金を貯められる。
- デメリット:低金利のため、預けた額に対して増える額が少ない。学資保険のような保障機能がなく、死亡時の保険金などは得られない。
投資信託での積立
投資信託は、株式や債券などの金融商品に投資し、利益を目指す積立方法です。インフレや経済成長に伴う資産価値の向上を狙えるため、長期間の資産運用に向いています。
- メリット:長期的な積立であれば利回りが期待できるため、インフレ対策として有効。少額から始められ、流動性も高く必要なタイミングで引き出しが可能。
- デメリット:投資商品であるため、元本保証がない。市場の影響で元本割れのリスクがある。
学資保険は保障機能がついているため、教育資金として確保しやすい一方で、定期預金は安全性が高く、投資信託はリターンが期待できるもののリスクも伴います。それぞれの特徴を理解し、自分のリスク許容度や家計の状況に合わせて選ぶことが重要です。
教育費の準備に向けた積立のポイント
教育費を準備するためには、無理なく積み立てを続けることが大切です。以下に、効果的に積立を行うためのポイントを紹介します。
早めにスタートする
教育費は子どもの成長に合わせて準備する必要があるため、早めに積立を開始することがポイントです。例えば、子どもが生まれてすぐに積立を始めると、大学入学時までに18年間の積立期間を確保できます。長期間かけてコツコツと積み立てることで、毎月の負担を軽減し、計画的に資金を準備できます。
つみたてNISAやiDeCoを活用する
教育費の準備に投資信託を利用する場合、「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった税制優遇制度を活用するのも一つの方法です。つみたてNISAは非課税で長期間の積立ができるため、教育資金の積立に適しています。また、iDeCoは将来の老後資金を準備する目的ですが、税制上の
優遇があるため、家計全体の資産形成に貢献できます。
支出の見直しで積立額を増やす
教育費の積立額を増やすために、家計の見直しも重要です。固定費や変動費の見直しを行い、無駄な支出を削減することで、積立に回せる資金を増やすことができます。例えば、通信費の節約や、外食を減らして自炊を増やすなど、日々の支出を抑える工夫を取り入れましょう。
自動積立で無理なく貯蓄を続ける
銀行口座からの自動引き落としで積立を行うことで、貯蓄を無理なく続けることができます。自動積立に設定しておくと、忘れずに毎月積立を行えるため、計画的に資金が貯まりやすくなります。また、ボーナス時に追加で積立を行うことで、短期間で効率よく貯めることも可能です。
学資保険と積立の組み合わせで安心を確保する
学資保険と積立投資、定期預金などを組み合わせることで、教育資金の準備をさらに安心して行えます。リスクとリターンのバランスを取りながら、以下のようなプランで積立を行うと効果的です。
安全資産と投資資産の割合を考える
教育資金は子どもの進学に合わせて確保する必要があるため、安全資産と投資資産のバランスを考えましょう。学資保険や定期預金を基本としながら、余裕がある場合は投資信託でインフレ対策を行うと、効率よく資金を増やせます。
各進学時に合わせた計画を立てる
子どもが進学するタイミングで祝い金が受け取れる学資保険や、大学進学時にまとめて引き出せる定期預金など、進学時期に合わせて計画的に資金を用意しましょう。進学時期に必要な資金が確保できると、家計の負担を抑えながら安心して教育費の準備が行えます。
まとめ
教育費の準備には、早期から計画的に積み立てを行うことが大切です。学資保険の安心感や積立投資のメリットを活用しながら、自分や家族に合った方法で教育資金を確保しましょう。無理のない範囲で積立を続け、家計に負担をかけずに子どもの未来を応援できるライフプランを作成してみてください。